KAGURA

「台湾で」ではなく「台湾と」 〜台湾視察レポート〜

シュンスケです。
5月29日から6月2日まで台湾に行ってきました。台湾はこれで2回目の訪問だったのですが、いろいろなことを考えるきっかけになったのでそれを書いてみようと思います。

なぜ台湾に行ったか

地元のビジネス誌の記者と

今回の訪問は九州経済連合(九経連)という経済団体が進めている経済交流の一環でした。九経連は台湾と経済交流をするためにMOU(Memorandom of Understanding)を結んでいます。台湾以外にも香港やインドネシア、タイなどとも結んでいて、アジアとの経済連携を進めているんですね。今回の訪問では台湾で開催されている世界最大のITトレンドショー COMPUTEX TAIPEI 2017やスタートアップのインキュベーション施設を視察したり、そこでKAGURAを台湾の人に見てもらったりしました。現地のビジネス誌の取材も受け、なかなか有意義な台湾訪問になったんじゃないかと思います。

COMPUTEX TAIPEI 2017

COMPUTEX TAIPEI 2017には日本からも多くの人が参加していて、レポート記事もたくさん上がっています。COMPUTEX TAIPEIは毎年チップメーカーやマザーボードメーカーが新商品発表会をするということもあって、PC系のメディアは特集を組んで取材班を送ったりしています。最近はスマートフォンやVR、MRに関する新製品や技術も発表されていて、年々レポート記事が増えてるな、という気がします。

ASCII.jp:インテルがCOMPUTEXの基調講演でCore Xシリーズを発表! ハイエンドは「9」に!|COMPUTEX TAIPEI 2017レポート
http://ascii.jp/elem/000/001/491/1491645/

ASCII.jp:予約殺到に納得!マジでスゴイAcerのMRヘッドマウントディスプレーを体験レビュー|COMPUTEX TAIPEI 2017レポート
http://ascii.jp/elem/000/001/492/1492541/

個人的に面白かったのはゲーミングPCの盛り上がりでしょうか。普通の人が普段使いするデバイスとしてPCが外れてしまった今、ゲーミングにスポットライトを当てようということなのかもしれませんが、eSportsの盛り上がりがそれを後押ししているんだと思います。VRゲームをやるにも現状ではハイスペックPCが必要ですしね。KAGURAも楽器としてPCを使おうとしているわけですし、いわゆる普通のビジネスパソコンとは違うジャンルへの展開という意味でも注目し続けたい分野です。

COMPUTEX TAIPEI2017ではスタートアップなどが出店するInnoVEXというエリアもあり、そちらには世界中から多くのスタートアップが出展していました。福岡からだとBacklogCacooを開発しているNulabや、IoT事業を進めるSKYDISCが出展していました。また福岡市も自治体としてブースを構えてトークセッションを設けるなどしていて、福岡市がスタートアップを盛り上げようとしている意気込みが感じられました。

実は今回、しくみデザインは出展する予定はなかったのですが、福岡市ブースに顔を出した際にKAGURAを少しの間展示させてもらいました。KAGURAを展示したとたんに人だかりができて、足を止めてくれた来場者からの反応も上々。その様子を見ながら、ずっとやってみたかった「あること」を台湾とのコラボレーションで進められたらな、と考えたりしました。

台湾のシリコンバレー”新竹サイエンスパーク”

今回はIT産業が集まっていることから『台湾のシリコンバレー』とも呼ばれている新竹にある「新竹サイエンスパーク(新竹科学工業園區)」にも訪問しました。ここは日本でいう国家戦略特区と学術研究都市を混ぜたようなところ。台湾の国立交通大学などの大学だけでなく、鴻海などのテック企業の研究所が林立していて、産官学一体で研究開発を進めています。居住エリアやスーパーや公園なども整備されていて、新竹サイエンスパーク内であらゆるものが成立するようになっているんですね。

新竹サイエンスパークでは、交通大学産学連携センターのリン所長に会って台湾のスタートアップ事情について話を聞いたり、KAGURAをプレゼンしたりしました。そうそう、ここでもずっとやってみたかった「あること」の相談ができました。すごく親身に相談にのってくれて、台湾の人たちのホスピタリティの高さに驚きました。サイエンスパークに限らず、台湾の人たちのホスピタリティの高さは滞在中ずっと感じていましたね。

超進化系ショッピングモール

誠品書店(the eslite spectrum)の新形態となる誠品生活 松菸店にも行ってきました。誠品書店は台湾の書籍チェーンで、本を中心にカルチャーを発信していることで注目を集めています。日本の最近のメガ書店の店作りにも大きな影響を与えていて、誠品書店自身が日本への出店を計画していることも報じられています

誠品生活 松菸店は本はもちろん、ファッションや生活雑貨なども扱っています。雑貨フロアでは台湾アーティストの製品が販売されているだけでなく、店の中にファブスペースのようなものが併設されていて、ガラス細工や革細工もなどを作ることができるようになっていました。

それから三創生活(SYNTREND)も外せないスポットでした。台湾の秋葉原的な街である光華市場のとなりにあるこのショッピングモールは、テクノロジー製品やサブカルチャーだけでなく、あらゆる製品が「CREATE」「LISTEN」「GAME」のようにユースケースごとにフロアに分かれて展示・販売されていて、ショッピングモールとしてだけでなく、台湾の今を詰め込んだような施設になっていました。オーナーであるJeffreyさん(鴻海CEO Terry Gouさんの息子)によれば、SYNTRENDは秋葉原やグランフロント大阪を研究して作ったとのこと。とにかくすごい情報量でした。

「日本ブランド」が生きる道

今回の台湾訪問で強く感じたことは「日本というブランドが世界でポジティブな意味と認識されるのはあと少しの間だろうな」ということでした。テクノロジーやそれを支えるインキュベーション施設や研究施設の充実度はすでに日本より進んでいると感じましたし、人材も揃っていて、その部分に限って言えば日本の優位性はすでにないようなものだとすら感じました。

ただ「もう日本はダメだ」的なことを言いたいわけではないんです。まだギリギリ日本というブランドに優位性があるので、今が世界に出ていく最後のチャンスなんじゃないかと痛感した、ということを残しておきたいと思ったんですね。

ではその優位性のある分野は何かというと、やはりコンテンツやクリエイティビティでした。

鴻海ASUSをはじめ、台湾には多くのテクノロジー企業もあって、すでに私たちの生活に入ってきています。しかし、Taiwan-Bornなオリジナル製品も生まれてきてはいるけれど、やはり「台湾企業=OEMの会社」というイメージを持ってしまわれていることも事実。今回会った何人かの台湾人から、どうしてもそこから抜けきれないんだ、という話も聞きました。そして、だからキミみたいな人とコラボレーションしたいんだと。

ゲーム・チェンジングな製品を産むためには、ものづくりのスタートラインの時点でクリエイティブな視点を持っておくことが重要なのは言うまでもありません。そしてその点ではまだ日本がやれることがたくさんあるはずです。

そして台湾は日本の強力なパートナーになりえると今回の訪問で感じました。

「台湾で何かをやる」ではなくて「台湾と一緒にやる」

今後のビジネスを考える上では中国は大きな市場で、やはり狙っていきたい。ただ中国に進出するのは、英語圏に出るより大きな障壁があります。言語だけでなく、そのプロダクトの持つ特性や使い勝手なども中国に合わせて「翻訳」する必要がある。また、しくみデザインのような小さな企業がハードウェアを作ろうと思ったとき、いきなり深センに行って、タフネゴシエーションをしたり、クオリティコントロールをするのは難しそうですよね。そんなときに中国語圏で、ハードウェアに強くて、かつ中国経済に入り込んでいる台湾の企業とパートナーシップを組めば、そのへんがいろいろと解決できそうです。

また福岡という視点から見ると、台北ってすごく身近なんですよね。距離的にも東京と同じくらいだし、かつてエンタテインメント都市として知られていたというところも似ている。そしてなんといってもコンパクト。しかも台北も福岡も、地場だけではビジネスが成り立たないから外に出ていくしかないんですね。そういったメンタリティの部分でも共有できるものがある。台湾では、今、本当に「クリエイティブな視点」を渇望しているんだと、いろんな人に言われました。だからこそ「台湾で何かをやる」ではなくて「台湾と一緒にやる」ということを真剣に考えはじめました。

現在しくみデザインでは、この夏にさいたまスーパーアリーナで開催される「Spaaark!!」に向けた準備でスタッフがフル稼働しています。あ、この「Spaaarrk!!」も早く台湾に持ってきてほしいと言われています(笑)。それから、KAGURAについても大きなプロジェクトが動いていて、近いうちにおもしろい事例を発表できそうです。

うーん、楽しいことやお伝えしたいことがいっぱいです!